大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和31年(オ)979号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人飯沢高の上告理由第一点および第二点について。

所論は、一審共同原告であつた斉藤明夫を、原審において証人として尋問したことの違法をいうのである。しかし、いわゆる証人能力を判定する時期はその尋問当時であり、その当時現に係属している訴訟の当事者等のみが右証人能力を欠くにとどまるものと解すべきである。本件についてみると、本件はいわゆる通常の共同訴訟であり、共同訴訟人(原告)の一人であつた斉藤明夫は、一審の敗訴判決に対し控訴申立をなさず該判決は確定し、同人に関する訴訟はすでに終了してしまつたのであるから、その余の共同訴訟人の申立による控訴審において、現に訴訟の当事者でない右斉藤を証人として尋問したのは適法であり、したがつてその証言を採用した原判決に違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例